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夏向きの話をひとつ
榊原に伝わる昔話です。

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安子(あご)のオシボラのサンマイといえば、榊原一の力持ちと言われる大吾さんも、大きなことは言えなかった。

サンマイとは共同墓地で、現在も榊原には何カ所かあります。
昔は人が死ぬとサンマイで土葬・火葬をして、そこに埋葬するので
肝試しには、ふさわしい場所ですね。
で、
オシボラといえば、一つ目小僧が出ると言われる気持ちの悪い場所です。
急な火ノ谷坂を登って、人里離れた寂しいサンマイです。

毎年のこと夏の夜には、青年たちは肝だめしをします。

竹で作った花筒を、そのサンマイに供えてくるのですが、大吾さんは勇気を出して、墓石の側に花筒をしっかり打ち込んで
「一つ目小僧、出てくるなら出てこいよ」と強がりをいいながら、倒れないよう力任せに、しっかり打ち込みました。
「これでよし」と、立ち去ろうとすると、何かが引っ張る。
「ん?出たか」と思って、体をさらに前に出そうとしても進めず、立ち上がることも出来ない。
真っ暗な中、力持ちの大吾さんは動けません。

とうとう大吾さんは「出たーッ、助けてくれーッ」と助けを求めました。

提灯(ちょうちん)を持ったみんなが集まってよく見ると
大吾さんのフンドシの垂れの上から、しっかりと花筒が打ち込まれていました。
「これでは動けんわい」と、大笑いでした。

(昔、中ノ山の崎一市さんから聞いたお話)

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by sakakibara-onsen | 2018-08-11 06:00 | 吾作
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