「はなかけ」とは河鹿荘からサンドセラピー砂羽あたりまで
湯の瀬川(榊原川)の左岸の日当たりのよい集落です。
そこに住む(故)岡山みつえさんからお聞きした話です。
むかし殿さんの花とり場で
お城からこっちをみると
ここら一体に花が咲き乱れとったそうじゃ。
そいで「花かけ」と名がついたと
よう聞かされた。
この花かけはええとこでな
昔から火事ちゅうもんはなかった。
それは火ぃ消す水もないし
消防ポンプも入ってこんやろ。
そやで花かけの人らは
ここで火事おこさんとこにと
みんなで決めとった。
それでもな、あるとき
にしだん(西谷)から大水が出て
下の道にあった大日(如来)さんが
流されそになったんや。
それを見た男二人が
なっとかせんとあかんがな
と、持てもせん石の大日さんを
抱き上げよとすると
大日さんは自分からひょいと
抱かれやんしたんやて。
それからは
もっとみんなで大事にしょうにと
花をあげたりして
祀るよになったんやわな。
ええとこやに、花かけは。
~榊原温泉郵便局発行の「郷土の昔ばなし」より~